アルゼンチンでテレビを観ていて、
思わず微笑んでしまった面白いCMや感動的なCM。
その中にこの国の子育て事情、
家族愛について考えさせられる内容が見え隠れしていたので今日はそのお話。
とにかく、とっても可愛いおちびちゃんの大人びた仕草がたまらない、おもしろCM。
まずはご覧ください。
https://youtu.be/JomgW04ir1E
「いつの日か、あなたのちっちゃなお子さんが…」で始まるこのCM。
「素晴らしいシェフになるかもしれない。」
「人の命を救うかもしれない。」
「世界を変えうるかもしれない!」
「でも今は…。」のコメントの後に現れるのは、ごはんで服をぐちゃぐちゃに汚している姿。
「ごはんを一人で食べることを学んでいます。服はシミだらけでしょう…。
でも、そのままにしてあげて下さい。」
と、「頑固なシミにはこの洗剤!」と続くコマーシャルな訳ですが、
この最後の「そのままにしてあげて下さい。」の一言がとてもアルゼンチン的で温かく感じます。
家族が一番!
スペイン系・イタリア系移民の子孫が多く、
ラテン気質の色濃いこの国。家族の仲の良さは半端ではありません。
さっきまで家で一緒にいたのに、家を出て10分と経たないうちに電話が鳴ったかと思うと
「Hola! Mi Amo—r!!」(直訳すると“私の愛しい人、元気~?”)
と甘ったるい声で会話が始まる訳です。
そして続く「どこにいるの?何してるの?」は、
日本人の感覚からいくとうっとおしく思えるくらいの距離感かもしれませんね。
「今、家を出て〇〇へ向かってるよ。」
「今、着いたよ、これから〇〇するね。」
「今、終わったよ!今から帰るね!!」
これらの電話が必須なのは、家族愛も勿論ですが、
犯罪の多いこの国では
「安否確認も兼ねているからね。半分冗談だけど、本当だよ。」
なんて事実も聞かされたりします。
でも基本的には大好きな人(家族・恋人)と「常に一緒」を大切にしている国なのです。
そしてもう一つ、ちょっと感動的なこのCM。
アルゼンチンと言えばサッカー!
もちろん、そのサッカー熱を上手く使ったCMなのではありますが、
ここから見えてくることは…!?
「私たちはアルゼンチン代表チームを応援しています。」
というカード会社のCMですが、
子どもの練習にかけつけたお父さん、
街中の人が明かりがない中練習する子どもたちに家の灯りを届けるというこのCM。
そう。
アルゼンチンは「皆で子どもを育てている」を感じる国なのです。
誰の子どもかな?
とあるお宅にお邪魔した時の話ですが、
3姉妹が仲良くお家で過ごしている時、ママが説明してくれたところによると…。
「一番上のお姉ちゃんは、うちの旦那さんの前の奥さんの子どもだけど、よく家にきて一緒に過ごすのよ~。」と、サラリ。
そう。
アルゼンチンは子だくさんの家庭が多い事実もありますが、
お父さん・お母さんの元奥さん・元旦那さんの子どもとも仲良く家族タイムを過ごしています。
私のステイ先の家主さんの息子クンは中学生、
でも普段はお父さんの家にいます。
この家には今の彼氏の元奥さんの小学生の娘ちゃんがよくやってくる。
以前ステイしていた家もシングルマザーで子どもは小学生、ママの彼氏がほぼ一緒に暮らしている。
と。皆、あまり気にせず仲良くやっている様子。
パパも家事が好き!
何より家族との時間を大切にするアルゼンチン人にとって、
パパが料理をするのはいたって普通。
平日の昼間から公園は子連れのパパ達がいっぱいです。
日本だと「家事や子育て」=「仕事」といったイメージもあるかも知れませんが、
ここでは皆、当然のこととしてリラックスして楽しんでいるように映ります。
小学校の入学式の日なんて、
会社に普通に出社した日本人がオフィスに人がいないので心配になっていると
「今日は入学式よ!?」
と当然のようにアルゼンチン人の同僚に言われたそうです。
会社より家庭を優先することが当たり前の社会。
ちょっとうらやましいですよね。
犯罪グループの子ども達
残念ながら物乞いをさせられている子ども達、
小学校低学年くらいなのに物売りをさせられている子ども達もいます。
ブエノスアイレスに来た当初、目の輝きを完全に失った小さい子ども達が
「今晩の食べるために何かちょうだい。」とやって来ると、
何かあげたくなったものですが、
元締めグループを増強させるだけだと聞いたので何もあげないことにしました。
残念ながら、こういった子ども達は
そのグループで「みんなに育てられている」ので、
窃盗や犯罪を悪いことだと認識できずに大人になってしまうそうです。
日本の整った社会だから与えられる教育や道徳、
これに勝るものはないかもしれません。
ただ、あまりに整いすぎているが故に、その枠からはみ出せず、
本当に大切にすべき家族や恋人を犠牲にしない国でありたい。
本当にぐちゃぐちゃな社会ではあるけれど、
いつも大切なことを教えてくれるアルゼンチンなのでありました。