大人の夏休み
2014年も半ばを過ぎたこんな時期に突然だが、「新年最初のチームミーティング」の内容は何だっただろうか?日本で働いていた頃を思い返すと、部門目標の確認、各人の新年の抱負などが主な内容だった気がする。ここドイツでは、当たり前のようにそこに「チームメンバーの年間休暇計画」というトピックが入る。
一般的にドイツでは、毎年4週間~6週間の有給休暇が与えられる。そこに病欠の日数は含まれない。そのため、与えられた有給休暇のすべてをリフレッシュや私用などの目的で消化することができるのだ。また私の勤務する会社では、残業した場合、残業代が支払われるのではなく、有給休暇という形で還元される。つまり、規定された時間以上に働いた分は、休まなければいけないというシステムなのだ。
与えられた休暇は、ほとんどの社員が、夏と年末にそれぞれ2~3週間まとめて取得し、残りを週末や祝日とつなげて消化する。そのため、順番に長期不在となるメンバーに合わせた仕事の年間見通しを立てておく事、そして不在中の仕事を他のメンバーがフォローするための共有化と、資料のファイリングには余念がない。もはやこうなると、休暇を取得することが、働くプロセスの一部となっているといっても過言ではない。
子供の夏休み
日本の夏休みにあたる時期、秋に新学期が始まるドイツでも同様に、およそ2ヶ月にわたる長い夏休みにはいる。しかし、驚くことに宿題がないのだそうだ。自身の小学校時分の記憶を思い起こしても、自由研究、読書感想文、絵日記、算数ドリル等、今思うとかなりのボリュームながら、嫌々ながらも当たり前のことと受け入れていた。しかし、ドイツ育ちの日本人の友人いわく、「夏休みは休むためにあるのだ」という考え方から、幼い頃から夏休みの宿題の存在を一切理解出来なかったのだという。そう、ドイツの人々にとって、「休みは休むためにある」という考え方は、もはや体に染みついている感覚のひとつなのだろう。
ドイツの夏休み
ドイツの人たちの間で人気の夏休みの目的地は、スペインのマヨルカ島、イビザ島、そしてカナリア諸島だ。また、ドイツ国内にも複数の島があり、なかでも、バルト海に浮かぶリューゲン島やフェーマルン島、北海に浮かぶズュルト島などが人気だ。日本同様、やはり夏は海の近くでバケーションを過ごすのが定番のようだ。
海を臨むリゾート地で、数週間何をして過ごすのかというと、基本的には何もしないのだ。「何もしない」をしに行くのが、一番贅沢な時間の使い方ということなのかもしれない。実際にビーチやホテルのテラスでゆったりと本を読んだり、自然がたくさん残された島をあてどなく自転車やボートで散策したり、といった具合だ。時間をいかように過ごそうとも、大事なのは日焼けをすることだ。彼らにとって、バケーションで日焼けをした=夏休みを存分に満喫したという証拠でもあるのだ。
休暇中に立てる次の休暇計画
「年末に一年を振り返るとき、一番に思い出すのは楽しかった休暇思い出なの」と、ドイツ人の友人が嬉しそうに語った。そうやって思い出話に花を咲かせながら、年始のミーティングにむけ、これまた長いクリスマス休暇の間に、家族や恋人と翌年の休暇計画をのんびり考えるのだ。
同僚達いわく「年間休暇は6週間じゃ足りない」のだそうだ。日本では、年末年始を除き、1週間以上の休暇など取得したことのなかった私にとっては驚くべき発言だ。今年は2週間の夏休みに初挑戦したのだが、もはや十分すぎるほどの長さで、最後の数日は仕事に戻ることを考えうずうずしていた。ドイツで働き始めて2年半、ドイツの休暇文化にまだ馴染めていないのは、これまでの習慣か、はたまた私の性格か。
さて。そうは言うものの、私もそろそろ次の休暇の計画をたてなければ。