炊きたてのご飯

ホームシックにかかったとき [ ドイツ ]

 

炊きたてのご飯

炊きたてのご飯

 

初めてのホームシック

海外に移住したどんな人も、生まれ育った日本のことを忘れるということはきっとあり得ないだろう。考え方や味の好みなど、育っていく中で形成されてきたものを、海外生活の中で再発見することも多い。私の場合は、当初食べ物に関してはあまり心配はしていなかった。パンも好きだし、洋風の食事も好きだからだ。そして移住後3ヶ月は、何の問題もなくほとんど米食をすること無く過ごしていた。しかし3ヶ月を過ぎたある日、突然白米に対する発作が起こったのだ。とにかく炊きたてのご飯が食べたい!味がどうこうというより、もはや口が欲しているといった感覚であった。全力で米を洗いご飯を炊いた私は、実家の母親お手製の梅干しだけでご飯二杯をたいらげたのだった。思えばこれがドイツで初めてのホームシックだったのかもしれない。

 

いかに代替するか

それ以後私は、発作が来る前に意識的に日本食を補給することにしている。日本食といっても、和食然としたものは海外ではなかなか難しいが、ナンチャッテ料理で日本の味を楽しむことが出来る。この時大切なのは、代替食品のアイデアだ。例えばパスタを茹でる際に重曹を入れると中華麺の様になるという裏技をインターネットで見つけた私は、それをきっかけに焼きそばや広島焼き、または鍋のシメまでこのナンチャッテ中華麺で楽しむようになった。私の住むベルリンでは、他の大都市に比べ日本人の居住者やツーリストが少ないため、日本食材専門のスーパーがない。あるのはアジアンマルクトというアジア各国の食材を取り扱うスーパの一角に、日本食材が売られているというパターンだ。直接日本のものは買えなくても代替できるものはけっこうある。例えば素麺やさつま揚げや餃子などの冷凍食品、醤油やみりんなどの調味料、そしてホットケーキミックスまでもが韓国のもので代替でき、これほどまでに食文化が似ていたのかと驚いたほどだ。アジアスーパーでアジア諸国の食文化を知ったケースは数知れない。また健康志向の強いドイツでは、日本食ブームということも手伝って特に有機食材を販売するBIOスーパーでも、味噌や醤油、練り梅などの調味料を入手することが出来る。

日本食材コーナー

日本食材コーナー

手軽な方法でいうと、百貨店やスーパーなどの惣菜コーナーでは寿司パックを購入することが出来る。ネタはサーモンやツナ、アボカドなどで、日本のそれには多少劣るが、かっぱ巻きに醤油をつけ、箸休めに同封されたガリをつまむと、なんともホッとした気持ちになるものだ。さらにインスタントラーメンやカップ焼きそばは、だいたいどこのスーパーでも購入することが出来る。こういった風に、日本と同じクオリティとは言えなくとも、現地で買えるもので代用し日本風の食べ物を食べることはホームシック対策の一つになるだろう。

寿司パック

寿司パック

 

日本の情報を定期的に交換する

次にホームシックを引き起こすものとしては、やはり友人とのコミュニケーションであろうか。日本にいる友人や家族とメールやスカイプをするのは、ホームシックにならないための大きなポイントだ。しかし最近は便利な世の中で、メールやスカイプだけでなく、ソーシャルネットワークなどの情報交換ツールも様々あるので、以前に比べて格段にコミュニケーションを取りやすくなっている。またテレビやラジオはインターネットでかなり見れるようになっているが、それでも最近の流行などには全くついていけなくなる。私の妻は、さらに15年ほど前にオーストリアにも住んでいたことがあるが、手紙をファックスしていたという。そして日本から送ってもらったビデオを皆で回して見ていたそうだ。当時は今よりもっとホームシックになりやすかったことだろう。

iPadで見る日本のテレビ

iPadで見る日本のテレビ

 

海外で活躍するスポーツ選手を見る

ホームシックになるその他の原因として、自分がマイノリティであることや、孤独感を感じることがある。例えば私の職場では、90%以上がヨーロッパの人たちで、日本人で日本語を母語としているのは私だけである。ベルリンという国際的でオープンな土地柄ゆえ、ディスアドバンテージを感じることや、嫌な思いをすることはほとんどないが、他の人達が共通のルーツを持っていたり、祖国の話をしているとやはり寂しい気持ちになる。そんな時に私を奮い立たせてくれるのは、海外で活躍するスポーツ選手達だ。

特に私の場合は、大好きなサッカー・ブンデスリーガに日本人選手が多く、毎週末彼らの試合を観て、勝手に励まされているのだ。スタジアムに行ってみるとよくわかるが、6~7万人もの大観衆に囲まれた中、異国の地で日本人として一人ピッチに立つ姿は本当に胸を打たれる。そして素晴らしいプレーをし、試合後にサポーターや現地メディアから「彼は本当に良いプレーだった!」と賞賛されているのをみると、私まで誇らしい気持ちになってくる。そして彼らに比べれば、自分の環境など大したことが無いと思えてくる。

大観衆が訪れるブンデスリーガ

大観衆が訪れるブンデスリーガ

 

目的を再確認し、「日本と同じ」を求めない

海外に行く人は、旅行であれ移住であれ、何か目的があって海外に行っているのだ。言い換えると日本とは違う何かを求めて異国の地に行くのだ。しかし、一定の期間を過ぎると、やはり母国が恋しくなるものだ。そういった時こそ、何故自分はわざわざ言葉も文化も違うこの国にやってきたのか。何を求めて来たのかを再確認することが大切だと思う。そして日本と違うことにいちいち腹を立てたり、落ち込んだりせずに、嘘みたいな出来事も笑い飛ばすくらいのおおらかな気持ちになってみることが、ホームシックに対する特効薬なのではないかと私は思っている。

 

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