電車を待つ人々

ベルリンの交通機関

 

アレクサンダープラッツと路面電車

アレクサンダープラッツと路面電車

ベルリンには公共交通機関としてドイツ全土に広がる鉄道網をもつドイツ鉄道(DB, Deutsch Bahn)と、ベルリン市交通局(BVG,Berliner Verkehrsbetriebe)が存在する。ドイツ鉄道が運営するのは、ベルリン近郊都市とベルリン主要中心部とをつなぐ列車(S-Bahn)で、ベルリン市内にくまなく張り巡らされた交通網となる地下鉄(U-Bahn)、路面電車(Tram)バスを運営するのがベルリン市交通局である。現在私が住むプレンツラウアー・ベルクを含む旧東ドイツエリアには路面電車のネットワークが広がっており、街の合間を縫って走るそれは、街ゆく人や街路樹の様子など、街が生きていることを感じさせてくれる私の大好きな乗り物だ。

 

ベルリンと路面電車

ベルリンの路面電車はドイツの中でも古く、なんとその歴史は1865年にまでさかのぼるのだという。それまでにも乗り合いの馬車が存在していたが、1865年にドイツ初の馬車鉄道がベルリンで誕生し、1881年から馬車鉄道は電気路面電車へと移行していった。その後多くの企業参入が相次いだことにより、一時はおよそ90路線、630kmにも広がる路面電車ネットワークが作られたのだという。東京―新大阪間がおよそ550kmというから、当時の勢いは推して知るべしだ。

東西ドイツの分裂時代には、ベルリンの公共交通においても異なる政策が打ち出されたため、西ベルリンでは路面電車を廃線し、主な公共交通は地下鉄・バスへと切り替わっていった。一方、東ベルリンでは自動車中心の社会とするため、閉鎖される路線が相次いだ。そんな時代を経て、東西ドイツ統合後に残された現在の路面電車のネットワークは、それでもなおドイツ最大の規模であるとともに、世界最大級の路線網の一つでもあるというから驚きだ。

街中を走り抜ける路面電車

街中を走り抜ける路面電車

その古い歴史をもつ路面電車ゆえとでも言うべきか、不便なこともある。バスのように運転手からチケットを買うことができず、とはいえ電車のように駅に券売機が設置されていないため、車内でチケットを買う必要がある。この券売機が曲者なのだ。コインしか受け付けず、さらにコインの投入に手間取ると勝手にキャンセルされてしまい、車内の揺れに耐えながら小さな投入口に入れた小銭がジャラジャラと音を立てて大量に戻ってくるのだ。とはいえ、もし仮にチケットを買う小銭を持たずに乗車してしまい、神出鬼没の検札係に捕まってしまった場合、「小銭が無いのに乗ったのが悪い」と容赦なく40ユーロの罰金を支払うことになるため、路面電車に乗車する際には注意が必要だ。

 

公共交通と検札係

いまだに多くのヨーロッパの都市で、改札のない駅に出会うことが多いように、ここベルリンの駅にも改札口というものがない。うっかり無賃乗車もできてしまう環境なのだが、ここ近年ベルリンでは車内や駅構内に突然現れる「検札係」が増員され、無賃乗車の取り締まりが強化されている。車内や駅に設置されている打刻機に通したチケットでなければ無効とみなされるため、チケットを購入した際には打刻を忘れないように気をつけなければならない。余談ではあるが、現在ベルリンの公共交通で無賃乗車をした場合の罰金は40ユーロであるが、60ユーロへの引き上げが予定されている。ヨーロッパの他の都市と比較しても金額が低いことや、前回の罰金の改定からすでに10年が経過しており、その間に運賃が40%も上昇した現在、もはや40ユーロという金額の罰金としての効果が薄まっている、ということが理由のようだ。

 

料金体系とお得な特典

料金体系はゾーン制となっている。ベルリンの街の中心部から順にA、B、そして市外のCの3つのゾーンに分けられており、ゾーン内であればどの乗り物を利用してもよいことになっている。たとえば、「ABゾーン 普通乗車券」であればABゾーン内で、かつ時間内であれば、他の交通機関への乗り換えも一時下車も何度でも可能というもので、何度もチケットを買い直す必要が無いので便利かつお得感もある。さらに特筆すべきは、月間定期券(Monatskarte)の嬉しい特典だ。平日夜8時以降と週末終日は定期券1枚につき、大人1人と子供3人を追加で無料同伴させることができる。つまり週末は家族そろって出かける事ができるのだ。さらに記名式ではないので、貸与も可能なため、最近は、定期券を使わない時間帯に交通費の上昇に苦しむ人へ貸与したり、特典を一緒に利用したりするボランティアネットワークも存在するようだ。貧困により公共交通を利用できないことで、社会からの孤立を防ぐことが目的なのだという。

駅構内

駅構内

駅構内の券売機

駅構内の券売機

 

みんなの公共交通機関

路面電車のみならず公共交通機関には自転車やベビーカー用の広めのスペースが必ず用意されている。自転車を乗せる場合は専用チケットが別途必要だが、ほぼ同じくらいスペースをとる大型のベビーカーはもちろん無料で、日中一人でベビーカーを押して移動する妻いわく、乗り降りやドアの開閉などでは必ず乗客の誰かがサポートしてくれるのだそうだ。なかなか遠慮してしまう平日朝夕のラシュアワーに自転車やベビーカーを堂々と乗せる客もよく目にするが、他の乗客は特段嫌な顔をするわけでもなく、ドイツに来た当初は驚きを隠せなかった。そんな光景を目にするたびに、そうか、公共交通機関は「みんなの乗り物」なんだよなぁ、などと改めて当たり前のことに感心してしまうのである。

電車を待つ人々

電車を待つ人々

 

 

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