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- 【グルメ・ドリンク】「夏を乗り切る食べ物」【イタリア】
フィレンツェの夏の味覚
6月に入ると急に猛暑になり、フィレンツェは暑い日が続いています。
過ごしやすかったそれまでの生活は一転し、家庭でもエアコンを使用する毎日です。そして季節の変化にともない、食生活では夏のメニューが食卓に登場するようになりました。
夏に好まれるメニューといえば、パンツァネッラ(panzanella)とパッパ・アル・ポモドーロ(pappa al pomodoro)が思い浮かびます。
この2つに共通しているのは、パーネ・トスカーノ(pane toscano)という、塩の入っていないトスカーナ地方のパンを使っている、とても庶民的な料理であることです。
パーネ・トスカーノを2~3日も放置しておくと、凶器にもなりかねないぐらいカチカチに固くなります。このパンを使って作るのがパッパ・アル・ポモドーロです。パッパ・アル・ポモドーロを作るパンは、固ければ固いほど美味しくできます。
ドイツのアンゲラ・メルケル首相がフィレンツェを訪問した時に、数々の伝統的なフィレンツェ料理の中の一品として食べたのがパッパ・アル・ポモドーロでした。
「ポモドーロ」はトマト、「パッパ」とは本来はベビーフードの意味ですが、赤ちゃんでも食べることのできるような柔らかいスープ状の食べ物、という意味で使われています。
パッパ・アル・ポモドーロは温かい料理として食べることもできるため、レストランなどでは一年中目にすることもできますが、材料として使われるトマトの美味しいシーズンであることから、夏のメニューとして特にお勧めします。
パッパ・アル・ポモドーロの作り方
ご紹介するパッパ・アル・ポモドーロの材料は、トマト、バジリコ、ニンニク、パーネ・トスカーノ、トマトの水煮缶、そしてオリーブオイルと塩だけです。
トマト、バジリコ、ニンニク、パンはイタリアではどこの家庭でも常備している食材ですから、イタリア人にとっては「今日は暑くて買い物に行くのが面倒臭いな~」という日でも、気が向いたらすぐに作ることができる手軽な一品のようです。
パンはバゲットなどでも作ることができますから、ぜひ暑い日に挑戦してみて下さい。
作り方はとても簡単です。
まずニンニクをみじん切りにし、オリーブオイルを熱した鍋に入れて、バジリコと一緒に軽く炒めます。
そして手のひらぐらいの大きさにちぎったパンを加え、全体にオリーブオイルがなじんだら、一口大の大きさに切ったトマトと水煮缶を入れて、塩で味を整えてから1時間ほど弱火で煮込みます。
煮込むにつれ、あんなに固かったパンはもっちりとした感触になり、煮込む時間が長ければ長いほど味が染み込みます。常温のままでも、また冷蔵庫で冷やしてからでも美味しくいただけます。
お皿に盛りつけてからオリーブオイルをスプーン一杯程度加えると、よりサラッとした軽い口当たりになります。
このレシピは、コック歴20年のイタリア人の友達に教えてもらいました。
伝統的なレシピでは、セロリやにんじんから取った野菜のダシを使って煮込むそうなので、ご紹介したものはかなり簡略化したレシピです。各家庭で独自のアレンジを楽しむことができるので、他の野菜も混ぜてみたり、でき上がった後にチーズをふりかけたりしてお好みの味を開発してみるのもいいですね。
暑い夏を乗り切る工夫
過去最高の暑さになると言われている今年の夏。普段の生活より、さらに健康第一で過ごしたいですね。
イタリアでも、テレビの天気予報では「お年寄りや小さな子供は特に注意して下さい」とか「日中は外出を控えるように」と注意を呼びかけられます。
真夏になると、夜になっても昼間の熱気がなかなか下がらない日があります。そのため、夏の間は夕食の時間を遅くする家庭も多いようです。
夕方になったらアペリティフで冷たい飲み物や軽くお酒を飲んでリフレッシュしたり、遅い夕食の時間まで保たせるためスナックを食べ、太陽が沈み涼しくなった9時すぎに本格的に夕食を食べます。
寝る前にがっつり食事をしたら体に悪そう、太りそう、と思っていましたが、イタリア人はその対策として、軽く体を動かすために夕食後に散歩に出かけます。
夜中の12時頃に、小さい子供が大人たちと一緒に楽しそうに街を歩いているのを見て驚いたことがありますが、あれは食後の散歩だったのかと、目からウロコでした。
散歩をしながら食後のジェラートを食べたりと、お楽しみも兼ねていれば、昼間の暑さも忘れてしまうでしょうね。
イタリアの夏の食べ物や生活の知恵は、暑くてもいかに食欲を減退させないか、いかに暑い夏も楽しく乗り切るか、ということを考えた物が多いようです。