2014年2月某日。私の長年の親友のフランクリンが、フィレンツェの郊外で結婚式を挙げました。
フランクリンとは私がフィレンツェに来たばかりの頃に知り合い、もっとも古い友人の一人です。
招待状をもらい、もちろん喜んで出席することを伝えましたが、私が招待を受けたのは結婚式の5日前という慌ただしさ。
話を聞けば、花嫁のローデスはペルー国籍で、結婚後イタリアに住み続けるには滞在許可書の取得が必要になります。その申請に必要な書類手続きのため入籍を急ぐ必要があったからなのですが、市庁舎での民事婚とはいえ性急すぎる日程です。
日本とは時間の感覚が恐ろしく違うイタリアでも、結婚式となれば一生に一度の大イベント。民事婚でも最低でも1~2ヶ月、教会での結婚式となればさらに時間をかけて招待客に通知をしたり、披露宴の手配や衣装の準備をするのが一般的です。
フランクリンの居住地は、フィレンツェの中心地から車で15分ほどのところにある市です。
民事婚の結婚式は、この市の市庁舎で、家族の古くからの友人でもある現副市長により執り行われました。
出席者はまず、フランクリンの両親と弟、そしてローデスの妹です。この花婿の弟と花嫁の妹は、結婚の証人も務めました。さらにペルー領事館からローデスの保証人が出席となりましたが、この人もやはりフランクリン一家の友人。そして私を含めた友人3人の合計8人。挙式の日にちが決まったのがあまりにも急で、ペルーにいるローデスの家族や友人たちの出席が難しかったため、フランクリン側も家族と少人数の友人だけを招待することにしたそうです。
当日は朝11時半に市庁舎前に集合。
イタリア国旗の三色の帯を肩からかけた副市長が、時間ぴったりに市庁舎の正面玄関に登場しました。友人の息子の晴れの舞台とあって、副市長もやる気満々です。
式は形式に則って、誓約、指輪の交換、結婚成立の宣言、結婚証書の署名が行われました。重要な儀式とはいえ、副市長にとっては幼い頃から知っているフランクリンの結婚式ですから、絶えず冗談の飛び交う和気藹々とした雰囲気の中で式は進行していきました。
式後は、真っ青な空が広がるミケランジェロ広場に場所を移して記念撮影をし、その後、レストランでランチとなりました。式を仕切った副市長も、友人として一緒にテーブルを囲みます。スプマンテで乾杯の後は、みんなでお喋りをしながら食べたり飲んだりし、お開きになったのは夕方の5時。胸だけではなくお腹もすっかりいっぱいになって帰途につきました。
出席者の誰もが新郎新婦に心からの祝福を送り、笑いの絶えない幸せな空気に満ち溢れた結婚式でした。そしてもちろん、登場した時から手をつなぎ、微笑み合ってはキスをするフランクリンとローデスにとっては、間違いなく人生でもっとも幸せな1日だったことでしょう。
彼らはこの後、時期をみてペルーでも結婚式を挙げる予定とのこと。
ペルーはフランクリンの母方の故郷でもあるため両家の親戚や友人が多く集まり、さらに近所の人までお祝いに駆けつけるのが習慣なのだとか。ペルーでの結婚式は、ひたすら食べて飲んで歌って明け方まで踊り明かす、賑やかで楽しい大パーティになるのが習わしだそうです。
ところで間もなく6月。ジューンブライドの季節ですね。結婚を考えているカップルの中には、ヨーロッパの教会でのジューンブライドに憧れている人も多いのではないでしょうか。
フィレンツェの中心街にほど近いセント?ジェームズ教会(Chiesa Episcopale Americana di St. James)では、フィレンツェに住んでいない日本人でも挙式が可能です。近年では日本人の現地結婚コーディネーターが運営するサイトなどもあり、日本語での問い合わせも気軽にできるようですので、フィレンツェでの結婚式に興味のある方は利用されてみてはいかがでしょうか。