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- 【グルメ・ドリンク】スペインの暑~い夏を乗り切るクールな食べ物GAZPACHO【スペイン】
日本の夏のような湿気はないものの、スペインの夏は暑いです。照り付ける太陽が容赦ありません。私が住む町では、夏場は40度を超すこともしばしば。個人商店がお昼にいったん店を閉める1時半を過ぎると、道端には人っ子一人いなくなります。お店が再び開く5時になっても、通りはしーんと静まり返ったまま。やっと人々が外に出始めるのは6時半から7時をまわってからです。ビーチや避暑地ならまだしも、スペインの町中で夏の午後暑い時間に外に出るのは観光客くらいと言われています(苦笑)。
麦茶のように冷蔵庫に入っているガスパチョ
この暑さは、やはり食欲にも影響します。そこで大活躍するのが、冷たいトマトスープとして有名なガスパチョ(gazpacho)です。材料は、完熟トマト、固くなった前日のパンを水でふやかしたもの、きゅうり、ピーマン、にんにく、エキストラバージンオリーブオイル、ワインビネガー、塩、お好みで水と玉ねぎ。これをガーッとミキサーするだけ。これにみじん切りにしたきゅうりやトマト、ピーマン、ゆで卵、それにクルトンなどを浮かせてスプーンですくって頂きます。水分多めに作って、コップでゴクゴク飲むタイプもあり。そういえば、まだ日本に住んでいる頃にアルモドバル監督の映画『神経衰弱ぎりぎりの女たち(Mujeres al borde de un ataque de nervios)』で、ガスパチョがまるで麦茶のように冷蔵庫の中で冷やしてあるのを見て軽いカルチャーショックを受けました。観た方、いませんか?
私が初めてスペインで迎えた夏は、スペインでもっとも暑いアンダルシア地方のセビージャでした。当時はスペイン人の友人宅に居候していたのですが、その友人の夏の定番食が前日に作って冷蔵庫に入れておいたガスパチョとスペインオムレツ、トルティージャ・デ・パタタス(tortilla de patatas)。夏にガスパチョを作ると、彼女が「こんなに暑いのにキッチンで火なんて使っていられないからね」と言っていたことを思い出します。材料はどれも日本で手に入りますし、検索すると日本語のレシピがいくつも出てくるので、ぜひ作ってみてくださいね。作ったばかりで十分に冷えていない時は、氷を浮かすといいですよ。
濃厚なサンモレはコルドバの郷土料理
このガスパチョによく似たサルモレホ(salmorejo)も夏にオススメの一品。アンダルシアのフライパンと呼ばれる暑さの厳しいコルドバの郷土料理です。これは、完熟トマトと水にふやかしたパン、にんにく、エキストラバージンオリーブオイル、塩、お好みでワインビネガーを使って作ります。ガスパチョをさらにもったりと濃厚にしたような風味。刻んだゆで卵と生ハムのトッピングが定番です。これも病みつきになるおいしさ。ガスパチョもサルモレホも、スーパーに市販品が並ぶほどスペイン人には馴染みのある食べ物です。
ちなみに、ガスパチョと言ってもところ変われば品変わるで、ラ・マンチャ地方では特に冬に好んで食べられる煮込み系の料理を指します。正式には、こちらはガスパチョ・マンチェゴ、トマトスープの方はガスパチョ・アンダルスと言うのでご注意を。
ビネガーのきいたタパスとシエスタのススメ
夏にスペイン旅行に来ると暑さで食欲がなくなることもあるかと思います。でも、食べなかったらどんどん体が弱るばかりですね。そんな時にガスパチョやサルモレホはもってこい。ほかにも、バルに行けばコールドディッシュがあるので、とにかく何かつまみましょう。カタクチイワシをワインビネガーとオリーブオイルに漬けたボケロネス・エン・ビナグレ(boquerones en vinagre)や野菜と魚介類のマリネ(salpicón de marisco)あたりは定番タパス。夏バテ防止に効くと言われるビネガーがきいてすっきりした味わいなので、食べやすいかと。それともうひとつ、夏のスペイン旅行のカギはシエスタ(昼寝)です。スペイン人が昼食後に家で休んでいる時間は、移動にあててバスや電車の中で眠るか、ホテルで横になって休むことをオススメします。