新年おめでとうございます。
スペインでは年明け早々に国民的イベントがあり、
それをもって2週間続くクリスマスが終了となります。
1月6日の公現祭です。
でも、公現祭と聞いても、ピンときませんよね。今回は公現祭についてお話します。
イエスが公に現れた日
昔はカトリックが国教だったスペインでは、祝祭日の多くがカトリック教会に由来するものです。
この1月6日の公現祭も同様で、国の祝日に定められています。
公現祭はキリスト教西方教会
(西ヨーロッパに広がり成長したローマ・カトリック教会、聖公会、プロテスタント、アナバプテストなどのキリスト教諸教派)で、異邦人である東方の三賢王によって救世主イエスが見いだされた(=公に現れた)ことを祝う日です。
聖書によると、東方の三賢王(もしくは三賢人、三博士)は
イエスが生まれた時に西の空にきらめく星を見つけ、
新しいユダヤの王の誕生を察したそうです。
そして、礼拝を捧げるためにラクダに跨り、星に導かれるままにベツレヘムへと向かいます。
スペインではこの3人はメルチョール、ガスパール、バルタサルと呼ばれ、
年長で白髪のメルチョールは黄金、赤毛の青年ガスパールは没薬、
そして黒人のバルタサル乳香を贈り物として持って行ったといわれています。
ラクダに乗ってイエスに贈り物を捧げに来た三賢王
三賢王はエルサレムに着くと、
ヘロデ王(共和制ローマ末期からローマ帝国初期にユダヤ地区を統治したユダヤ人の王)の元へ向かい、
ユダヤの新王の居場所を尋ねました。
驚いたヘロデ王は、聖書に救世主が出現する預言があったことを思い出し、
慌てて祭司長や律法学者に調べさせ、ベツレヘムで生まれることを知ります。
そして三賢王に場所を告げ、自分も拝みに行きたいので帰りに報告に寄るように頼みました。
権力の座を奪われることを恐れ、殺してしまおうと思ったのです。
エルサレムを後にした3人の王は1月5日の夜中にベツレヘムに到着し、
無事に幼子イエスに礼拝を捧げました。
この三賢王の礼拝によって、ユダヤの新しい王の誕生が異邦人にも公になったとみなされています。
その後、夢でお告げがあり、エルサレムには寄らずに東の国に帰ったそうです。
これには余談があり、三賢王が報告に来なかったことに腹を立てたヘロデ王は、
ベツレヘムの2歳以下の男児を1人残さず殺害させました。
よって、12月28日は幼子殉教の日とされています。
ただ、イエスの両親ヨセフとマリアはお告げを聞き、エジプトに逃げたためにこの難を逃れました。
三賢王の礼拝や幼児虐殺、エジプト逃避は、宗教画にもたびたび登場するシーンです。
クリスマスプレゼントは1月5日の夜に三賢王が持ってくる
三賢王は1月5日の夜にイエスに贈り物を捧げたことから、
スペインの伝統ではクリスマスプレゼントを届けに来るのはサンタクロースでなく、
東方の三賢王なのです。もちろん12月24日の夜ではなく、1月5日の夜です。
この日の夕方には、スペイン各地で東方の三賢王のパレードが開かれます。
三賢王が到着したよ、今夜みんなの家にプレゼントを届けに行くよ、
とアピールするパレードなので、子供たちはこれを楽しみにしています。
電飾がほどこされた山車や音楽隊が連なる華やかなパレードの間には、
沿道の子ども達に向かってお菓子や小さなオモチャが投げられるので、
ますます子供たちの興奮にも拍車がかかります。
家に帰ると、プレゼントを持ってくる三賢王とラクダの休憩のために、
食べ物や飲み物をセットしてから眠りにつきます。
公現祭のお菓子ロスコン・デ・レジェス
1月6日公現祭の朝は、プレゼントを見つけて歓声をあげる子供たちの声と
目を細めてそれを観る親たちの微笑みで始まります。
この日は、家族そろってロスコン・デ・レジェスというお菓子を切り分けて食べる習慣も。
王冠がのったドーナツ型をした大きなパンで、
たいていは横半分に切って生クリームなどのフィリングが入っています。
中には陶器の小さなフェーブと乾燥ソラマメが別々に隠されており、
前者が当たるとその日は王冠をかぶって1日王様になれ、
後者だとロスコンの代金を払わないといけません(^^)
スペインでは公現祭までがクリスマス期間とみなされているので、
このようにして2週間続いたクリスマスの終わりを楽しみます。
新年は年越しの瞬間だけを祝い元旦には何もないので、
これが新年最初のビッグイベントです。
1月6日まではクリスマスのイルミネーションやデコレーションも続きます。
日本でクリスマスを楽しんで、
年明けにスペインに来ると、2回クリスマスが楽しめますよ(^_-)-☆