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JAPON(日本)という苗字に潜む歴史ロマン[スペイン]

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スペインの南にあるアンダルシア州の州都セビリアから車で30分ほど行ったところに、コリア・デル・リオという町があります。アンダルシア特有の白い家が目立つものの、とりたてて見どころもない小さな町です。この町には、カソルラ山地の源から人気の観光地コルドバやセビリアを通って太平洋に注ぐ、全長657kmのグアダルキビール川が流れています。黄金時代のスペインが新大陸で得た金銀財宝は、この川を遡りセビリアまで運ばれたといいます。

さて、コリア・デル・リオには、スペインでも珍しいJAPON(ハポン、スペイン語で“日本”の意味)という苗字があることで知られています。なんとこの苗字を持つ人たちは、サムライの子孫だと言われているのです。でも、どうしてスペイン南部のこんなところに!? 今回はその由縁をお話ししたいと思います。

今から400年あまり前、1613年(慶長18年)の秋、宮城県の月の浦の港から一隻のガレオン船サン・フアン・バウティスタ号が出航しました。乗り込んでいたのは仙台藩主伊達政宗の命を受け、スペイン国王フェリペ3世とローマ法王パウルス5世に親書を届ける慶長遣欧使節団。正使は、当時日本で布教活動をしていたフランシスコ会のルイス・ソテロ宣教師、そして副使は政宗の家臣支倉常長で、総勢約180名だったとか。派遣の目的は、仙台藩とスペインとの太平洋貿易の交渉だったといわれています。まずは3か月あまりの航海で、スペイン領ヌエバ・エスパーニャ(現在のメキシコ)アカプルコ港に到着。そこから4か月半もかけて陸路ヌエバ・エスパーニャを横断。スペイン艦隊のサン・ホセ号に乗り込んで大西洋にあるベラ・クルス港を出立したのは、1614年6月のことでした。その後キューバのハバナを経由し、やっと10月にスペインのサンルーカル・デ・バラメダ港に到着。日本を経ってから既に1年が過ぎていました。

使節団はここから前述のグアダルキビール川を遡ってセビリアに向かい、しばらく滞在した後、1615年1月30日にマドリードで最初の目的であるスペイン国王フェリペ3世への謁見を果たします。支倉常長はこの直後に、国王立ち合いのもと洗礼を受けたといわれています。日本出航から2年経った頃にローマに到着、1615年11月3日にはローマ法王パウルス5世に謁見し、常長は政宗からの親書を渡すことができました。ローマでは市民権証書を授けられたりと歓待はされたものの、政宗宛ての正式な返書をもらえないまま1616年1月には使節団はローマを後にスペインのセビリアへ戻ります。最終的には、1617年7月にセビリアを出発してヌエバ・エスパーニャ(現在のメキシコ)に向かい、1618年4月に再びサン・フアン・バウティスタ号に乗り込んでアカプルコを出港。8月に10日、フィリピンのマニラに到着しました。常長はここで船を乗り換え、1620年の秋になつかしい仙台の地を踏むことができました。なんと7年にも及ぶ長旅です。どんなに故郷や家族がなつかしかったことでしょう。目的のためか、信心が芽生えたのか、洗礼を受けてキリスト教徒になったというのに、この間に日本では使節団の出発した年の初めに全国的に布かれた禁教令がすっかり普及していました。正使だった宣教師のソテロは日本に戻ることが許されず、その後密入国するも49歳の若さで火刑により殉教します。

と、以上が表のストーリー。

この使節団の一行の中には、スペイン最後の滞在先であったコリア・デル・リオの町にそのまま残留した者がいるという記録が残っています。いったい残留の理由はなんだったのでしょう? スペインに魅せられてここに住むことを決めた私なので、親近感を感じ、とても興味深く思います。その現在700人ほどいるJAPONの苗字を持つ人たちは、その子孫だと考えられているのです。真実であるかはわかりませんが、JAPON姓の人には蒙古斑のある赤ちゃんが産まれることがある、町の界隈で米作が発展したのは残留日本人のお陰だなどという噂を耳にしたことがあります。宮城県は1992年に支倉常長像を寄贈し、その像はグアダルキビール川のほとりにある公園に立てられています。2011年の東日本大震災の際は、JAPONさん達がこの像に集まり、自分たちの遠い先祖の故郷に思いを馳せて献花と黙とうをささげた様子がニュースになっていました。

慶長遣欧使節団の出航から400年経ったことから、現在数々の日本スペイン交流400周年イベントが両国で催されています。その一環として、昨年6月には皇太子の浩宮様がコリア・デル・リオを訪ねて植樹を行いました。また、昨秋はDNAを調べるために数百人のJAPONさん達の血液が採取されたそうです。結果はまだ公表されていませんが、本当にサムライ達の子孫なのでしょうか? この歴史ロマンが実証されることを願ってやみません。

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