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- スペイン流お正月の過ごし方
今年も残すところあと1週間。今回は、スペインではどんな風に新しい年を迎え、お正月を過ごすのかをご紹介します。
スペインの年末年始は、学校はお休みになるものの、日本とは違って連休にはなりません(あえて連休にする企業、個人で有休を取得する場合は除く)。一部12月26日が祝日の地域もありますが、通常は25日のクリスマスの祝日の後は、また数日間の通常モードに戻ります。そして大晦日の日はクリスマス・イブ同様に半ドン状態になる職場がほとんど。大晦日も家族と過ごす人がいる一方で、この日は友達たちとワーッと盛り上がるという人たちもいます。レストランやバンケット会場では大晦日ディナーが企画されるのですが、新年を迎えそのまま朝まで踊って過ごすのは若い人達だけではありません。スペインらしいですね。
12粒のブドウを食べて「新年おめでとう!」
家で過ごす人も外で過ごす人も欠かさない大晦日の習慣は、12時の鐘とともに12粒のブドウを食べることです。12粒は同時に新年の各月を表すそうで、鐘に合わせて食べきると良い年になると言われています。マドリーのプエルタ・デ・ソル(ソル広場)にある時計台がもっとも有名で、ここの時計の鐘の音はテレビの生中継で全国に向けて放映されます。時計台の前にある広場は、生でカウントダウンをしようと押し寄せた人でラッシュ時の駅のような混雑ぶり(地元の人は人混みとスリを避けてあまり行かないのだとか)。ほかにも大きな町の広場では、同じようなカウントダウンが開かれるそうです。私は一度大晦日ディナーの会場で食べた以外は、いつもテレビの放送に合わせて12粒のぶどうを口にします。タイミングが結構難しく、思ったよりも早いので、事前に皮や種は取り除いて食べやすくしておくのがポイントです。
幸運を呼び込む赤い下着
12時が近付くと、カバ(スペイン産スパークリングワイン)とぶどうを目の前に鐘の音を待ちます。無事に12粒のぶどうを食べ終えたら、「Feliz Ano!! (フェリス・アーニョ、新年おめでとうの意)」と言いながら、まわりの人たちの頬にキスをして新年のご挨拶。この時グラスの中に何か金のものを入れると金運が上がると言う人もいます。私が何度か試した経験上では効果はありませんでしたが(^^;)また、新年を迎える際には男女ともに赤い下着をつけると運がつくとも言われています。12粒のぶどうを食べるこの習慣は、今ではメキシコ、ベネズエラ、ボリビア、ペルー、チリなどのラテンアメリカ諸国にも浸透しているそうですが、干しぶどうを食べる国もあるのだとか。最近はスペインでも食べやすく皮をむいたぶどうが12粒入っている缶詰やグミも売られています。ちょっとご利益が薄い気がしますね。
クリスマスに押され存在感のないお正月
こうして迎えた新年。みんな大晦日は夜更かししているせいか、元旦はまったりと過ごす傾向にあるようです。翌2日からはまた平日なので、まったくお正月気分がありません。「スペインにいると新年を迎えた気がしない」、と何人の日本人の口から聞いたことか。なんか、こう、厳かなものが一切ないのです。スペインのクリスマスは、イブの12月24日から国の祝日である1月6日の公現祭まで2週間続く長丁場。その折り返し地点で年が明けるので、気分はクリスマスのままなのです。
1月5日の夜には、スペイン各地で東方の三博士のパレードが行われます。スペインの伝統ではこの三博士こそが子供たちにプレゼントを届ける役割を果たすのですが、最近ではサンタクロースも大活躍。クリスマス・イブにはサンタクロースから公現祭前夜には三博士からと2回プレゼントをもらう子が増えています。日本ではお正月の最終日1月7日に七草粥を食べる習慣がありますね。スペインでもクリスマス最終日に食べるものがあります。ロスコン・デ・レジェスと呼ばれるドーナツ型の大きな菓子パンです。毎年これを食べると、ああ、クリスマス休暇も終わりだな、と祭りの終わりを実感。翌日からは2学期がスタートし、大人も子供も完全に日常生活に戻ることになります。
というわけで、長いクリスマスのせいで存在感がないのがスペインのお正月なのであります。