バーゼルからローカル線のS-Bahnに乗って10分、カイザーアウグスト駅に到着します。ここにはアウグスタ・ラウリカというローマ時代の遺跡が残っています。この地は、紀元前44年ごろから建設され始め、シーザー亡き後のローマ帝国初代皇帝アウグストスが中央アルプスの覇権を握った紀元前15年くらいから完全にローマ植民地となりました。勿論、町の名称も皇帝アウグストスが由来です。
ヨーロッパには多くのローマ遺跡がありますが、ここは北部アルプス地方の遺跡の中でも最高の状態で残されている遺跡と言われています。というのもローマ時代以降現在まで、この遺跡上に町が存在しなかったからです。これまで様々な施設が発掘されましたが、今でも80%が発掘段階にあります。
かなりの規模の遺跡群なのですが、正直あまり観光地化されていません。勿論、安全上や保存上での整備や説明など最低限の手は加えられていますし、博物館もあるのですが、訪れる多くの人は地域の学生達といった具合。週末は、近隣の人々の散歩コースとなっています。
発掘された遺跡には、パン屋や公衆浴場、水道の跡などの日常生活に密着したものや、ローマ主神ユーピターの寺院などがあり、ローマ時代の人々の生活が垣間見られます。巨大な公衆浴場跡を見ると、ローマ人のお風呂好きは日本人に通じるものがあるなーと親近感を覚えたり、1900年前に整備された下水道のトンネルには技術力の高さに驚かされます。数ある遺跡の中で、何よりも目を引くのが屋外円形劇場。イベントなどに使用できるように一部修復されていますが、かなりの規模のものです。本からしか知りえない古代ローマの生活ですが、多くで描写されている通り人々が生活を楽しんでいた様子が目に浮かびます。階段を上って最上階まで行くと、眼下に広がるのはスイスの田舎の風景。この下にもまだまだ遺跡が埋まっているのかも・・・と考えると、ワクワクしてきます。そして何よりも、20以上ある遺跡に直接手に触れられるのも醍醐味の一つ。2000年前に刻まれた文字を見ていると、なんとも不思議な気分になってしまいます。
訪れた日は、あいにくの天気でしたが、劇場の向かいの神殿の祭壇へ登った途端に、太陽の光が!偶然でしょうが、偶然とは思えないような不思議な空気を感じてしまいました。
その他、博物館の他に、ローマ時代に飼われていた家畜を集めた動物広場があります。何でも、発掘された動物の骨から、その種類を探し当て集めたものらしいですよ。ホロホロチョウ、全身が毛に覆われた猪のマンガリッツァ、イタリア雄鶏などの珍しい動物が見られます。
子供から大人まで十分満足できるので、是非足を運んでローマの風を感じてみてください。
観光情報
AUGUSTA? RAURICA
Giebenacher strasse 17
4302 Augst
博物館
営業時間
夏季(3月-10月):月曜日 13時-17時、その他の曜日10時-17時
冬季(11月-2月):月曜日 13時-17時、その他の曜日11時-17時
入場料
大人:8フラン、学生(26歳まで):6フラン、子供(6歳以下):無料
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アクセス
鉄道
Basel SBB駅から Rheinfeldenまたは Brugg行きに乗車しKaiseraugstで下車。徒歩10分程度で遺跡群と博物館へ。
バス
バーゼルのAeschenplatzから81番のバスに乗車しでAugst下車。徒歩10分。