11月末から始まるアドベント(降臨祭)の前になると、交通渋滞にはまることが多くなります。その正体はというと、道路の街灯にクリスマスイルミネーションを付ける作業だったり、街に何本も立つ大きなクリスマスツリー(生のもみの木)の搬入中だったりするわけです。そんな作業を見かけるようになると、街は一気にクリスマス一色に。
クリスマスイブまでのアドベント(降臨節)の期間、ヨーロッパの多くの町でクリスマスマーケットが開催されます。ドイツ、スイス、オーストリアなどのドイツ語圏が特に有名ですが、歴史的な背景からもフランス・アルザスでも大小さまざまなクリスマスマーケットが開かれます。
ドイツとの国境の町であるバーゼルも、スイス国内では最大規模のクリスマスマーケットがオープンします。ついこの間まで秋のヘルプストメッセでにぎわっていた地域に、ログハウス風のお店が並ぶこと、その数180店舗。日本やアメリカのクリスマスと比べると、商業度が低くその年の「流行」というものがないので、毎年例年通りの場所に例年通りのお店が並びます。
マーケットでは日替わりで、様々な催し物が行われますが、その中でも人気なのが蝋燭作り。カラフルな蝋燭や、地域の名産物でもある蜂蜜蝋燭などを作ることができます。蝋燭の芯を何度も蝋の中に漬けて作っていくので、少々時間はかかりますが、オリジナルの一品が出来上がります。ショップの中ではクリスマスのオーナメントが充実していてお勧め。森の中で手作業で作られた伝統的な木製のオーナメントや、色とりどりのガラス細工は、少々値段は張りますが長く使えるものとして、毎年買い足していくのにはぴったりの商品です。
また、クリスマスマーケットでの食べ歩きも、醍醐味の一つ。中でも、絶対に欠かせないのがドイツ語でグリューヴァインGluhweinと呼ばれるホットワイン。色々なバリエーションがありますが、バーゼルでは赤ワインにシナモンやレモンピール、アニスなどの香辛料を入れて甘く煮込んだもの。その年のクリスマスマーケット用のカップに入れて売られますが、カップ代を払うと持ち帰ることも出来ます。各都市のクリスマスマーケットも同様にカップの持ち帰りが出来るので、記念に持ち帰るのも良いでしょう。マーケットのショップには、ドライフルーツや香辛料を量り売りするショップも沢山出店していますが、そこでこのホットワイン用の香辛料ミックスも売られています。お土産で持ち帰れば、ヨーロッパのクリスマスを再現できますよ。
バーゼルのクリスマスマーケットの売りの一つは、ヨーロッパで一番長いイルミネーションストリート。夕方になるとメインストリートであるフライエシュトラッセは幻想的な雰囲気に包まれます。
にぎやかな音楽もなく、派手ではありませんが、ヨーロッパの古い町並みにマッチしたクリスマスマーケット。ヨーロッパに住む人にとって寒くて暗い冬を暖かく楽しい気分にしてくれる、欠かせないイベントです。