行楽シーズンには、お弁当を作って家族で出かけることが休日の楽しみでもありますね。日本ではキャラクターを模したお弁当を作って、友人同士で出かけようものならば、お母さんの料理自慢がはじまります。
今回紹介するのは、ベトナムのお弁当事情。せっかくの行楽シーズン。ベトナム人も素敵なお弁当を作るのでしょうか。
キャラ弁はベトナムでも流行の兆し
筆者が感じるのは、お弁当にこれほど力を入れるのは日本くらいなのではということ。日本では駅弁すら豪華ですよね。デパ地下では地方のご当地弁当なるものも人気ですし、書店へ行けばお弁当のレシピ本が売っているほどです。
ベトナム人はそれほどお弁当に力を入れることはありません。ただし、最近は日本のキャラ弁がユーチューブにアップされたり、ベトナム国内にある日本食レストランでもメニューになったりして、じわじわとお弁当が流行りはじめています。
ベトナムのテレビ番組にも料理番組が多々あるのですが、先日見た番組では、「日本スタイルのお弁当」という料理名を打って、キャラ弁やタコさんウインナーなどの作り方を紹介していました。
お弁当箱は日本が世界一?
お弁当の質は日本が一番と考える筆者ですが、そのもう一つの理由が「お弁当箱」にあります。日本のお弁当箱は保温機能がついていたり、自然解凍できるお弁当箱、最近ではUSBに接続したり、電池で温めることができるユニークなものも見かけます。
一方、ベトナムではこのようなお弁当箱は皆無。小さな子供からお洒落にこだわりを持つ女子学生まで、携えているお弁当箱は一貫してアルミの円筒弁当箱。軍隊やボーイスカウトなどが持っているような、キャンプに使われるあれです。
アルミなので一定の保温機能はあるのでしょうが、やはり寂しいですね。いままでは、それが普通だと思っていたベトナム人も、日本のお弁当文化を知ったら見逃すはずはありません。在住日本人が一時帰国をする際に、しばしば「かわいいお弁当箱を買ってきて!」と頼んでくることがあります。
ベトナム人が作るお弁当の中身とは
日本ではお弁当を作る際、手間暇かけて作る手料理に加えて、冷凍食品も活躍しますね。一方ベトナムでは、レンジでチンして完成のような、即席の冷凍食品はほとんどありません。というのも、ベトナム人の一般家庭には、まだレンジが普及していないからです。ですので、ベトナムのお弁当は、ほぼ手作りとなります。
肝心のお弁当の中身ですが、定番なのは「揚げ春巻き」、「生春巻き」、「千切りにしたパパイヤサラダ」、「チャーハン」などです。種類は多くありません。また、「カンチュア」と呼ばれるトマトやパイナップルで出汁をとった酸味の効いたスープも定番どころです。また、生春巻きの場合は、予め作っておくパターンと、ライスペーパーと野菜をもって、現地で作るパターンとがあります。
お弁当を食べる場所には困りません。
そして、最後にお弁当を食べる場所ですが、こちらはベトナムでは困りません。というのも、彼らは場所を選ばないからです。カフェでもレストラン、フードコート、列車やバスの中でさえも、ところかまわずお弁当を広げます。
ちなみに、お弁当に最適なスポット1位は「公園」です。ベトナムの動物園や遊園地は、園内が公園のように芝生が広がっていて、そこでみなさんお弁当を食べています。おにぎりの食文化はベトナムにはありませんので、生春巻きやフランスパンをかじっている光景をうかがうことができます。
近年ベトナムは多くの外資を受け入れたことによって、徐々に食文化も開けてきている印象を受けます。いままでベトナム人が食べてこなかったチーズやマヨネーズといった欧米食品を使った料理も、最近は見受けられているのがその証拠。お弁当の種類もこれから多様化していくことかと思います。